■ハローワークで初任者研修を受講するメリットは?
■逆にデメリットも知りたい!
介護職員初任者研修の取得方法はスクールに通って講座を受講する方法が一般的ですが、ハローワークの求職者支援制度(職業訓練)を利用して取得する方法もあることはご存知でしょうか。
私の昔の同僚も、この制度を使ってお得に資格を取得していました。
ただ、介護職員初任者研修をハローワークで取得するメリットやデメリットについてよく分からず、上手に活用できていないケースも多いようです。
この記事では、ハローワークを通して介護職員初任者研修を受講することのメリット・デメリットについてご紹介していきます。
ハローワークの求職者支援制度とは?
ハローワークでは、求職者に対して仕事を斡旋するだけでなく、就きたい仕事に関する資格や多くの職種に共通する能力を習得するための訓練などへの支援も行っています。
その一環が求職者支援制度です。職業訓練と呼ばれることも多いので、こちらの方が耳なじみの方もいるかもしれません。
離職して雇用保険を受給できない方や、収入が一定額以下の在職者の方などが、早期に就職できるように無料で職業訓練を受けることができます。
また、条件を満たせば月10万円の給付金も受け取れますが、給付金の支給要件を満たさない場合であっても、無料の職業訓練は受講できます。
求職者支援制度の対象となる条件
給付金を受けて訓練を受講する方 | ||
離職者 | 雇用保険の適用がなかった離職者の方 フリーランス・自営業を廃業した方 雇用保険の受給が終了した方など | |
在職者 | 一定額以下の収入のパートタイムで働きながら、正社員への転職や社内で正社員転換を目指す方など | |
給付金を受けずに訓練を受講する方 (無料の訓練のみ受講する方) | ||
離職者 | 親や配偶者と同居していて一定の世帯収入がある方など(親と同居している学卒未就職の方など) | |
在職者 | 働いていて一定の収入のある方など(フリーランスで働きながら、正社員への転職を目指す方など) |
求職者支援制度を利用する最大のメリットは「お金」
ハローワークから求職者支援制度を利用して、介護職員初任者研修を受講する最大のメリットがお金です。
一般的な方法に比べると、資格取得にかかる費用を大きく節約できます。これは、失業中の生活を守ることにもつながり、受講費用の捻出が難しい方の助けとなります。
教材費などの実費だけで学べる
一般的な方法で介護職員初任者研修を受講する場合、教材費込みで安くても5万円、平均的には8万円~9万円程度の費用がかかります。
それに対して、求職者支援制度で介護職員初任者研修を受講する場合に必要となるのは、教材費や交通費といった実費のみ。受講は無料で、唯一お金がかかる教材費は1万円~3万円程度が相場です。
スクールによって受講費用には差があるため、求職者支援制度でどのくらいお得になるのかは一概には言えませんが、大幅に費用を削減できるのは確かです。
一定の要件を満たす場合は給付金が受けられる
求職者支援制度で職業訓練を受けている間、収入がなくなることが心配な方もいるでしょう。
資産や家族の収入等の条件はありますが、職業訓練受講給付金として月額10万円の給付を受けられる可能性もあります。給付金の支給条件は以下の通りです。
給付金の支給条件
・世帯全体の収入が月25万円以下
・世帯全体の金融資産が300万円以下
・現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
・全ての訓練実施日に出席する(やむを得ない理由がある場合も、8割以上出席する)
・世帯の中で同時にこの給付金を受給して訓練を受けている者がいない
・過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けていない
※参考:厚生労働省「求職者支援制度のご案内」
デメリットにも注意!ハローワークの求職者支援制度
ハローワークの求職者支援制度の活用は、これから介護職を目指そうと考えている人にとってメリットの大きい制度です。
しかし、少なからずデメリットもあります。後で後悔しないために、デメリットも知った上で受講を検討してください。
応募倍率により選考に落ちる可能性がある
求職者支援制度を利用した受講は、誰もが無条件に通過できるものではありません。筆記試験や面接があり、就職する意思があるかどうかといったことをチェックされます。
また、十分に就職する意思があったとしても、介護職員初任者研修の定員を超える場合は、選考に落ちる可能性もあります。
多くの求職者がハローワークを通して就職活動をしているため、必ずしも希望する講座を受講できるわけではないことを知っておきましょう。
月曜日~金曜日が3ヶ月以上は講義の時間になる
介護職員初任者研修を実施している民間スクールでは、最短1ヶ月で受講が修了します。
しかし、ハローワークの求職者支援制度を利用すると、初任者研修が修了するまでに3ヶ月程度の期間が必要になります。カリキュラムの内容は一緒なはずですが、短期集中で実施されているわけではないようです。
また、受講できる日程の選択肢が限られているので、スケジュールの融通がつきにくいといったデメリットがあります。民間スクールには夜間コースや土日限定コースなども豊富ですが、ハローワークは基本的に平日昼間の講義が中心です。
そのため、アルバイトなどと両立しながら取得を目指そうと考えている方や、育児・家事との両立が心配な方は注意が必要です。
民間スクールよりも講師ごとの質の差が大きい可能性がある
講座を受け持つ講師の質は人によりけりです。これは民間スクールの場合にも言えることですが、ハローワークの各講師の質の差は民間スクールよりも大きい可能性があります。
ハローワークから生徒の受け入れをしているスクールの場合、特に努力をしなくても半ば自動的に生徒が集まります。そのため、その他のスクールに比べると生徒の評価や人気を気にしなくても良い環境にあります。
こうしたことを考えると、生徒の反応よりも取得率や就職率に重きを置かれ、講座の面白さや分かりやすさが軽視される可能性があります。
もちろん、ハローワークの講座でも、優秀な講師の方はたくさんいますので、口コミなどから判断されると良いでしょう。
一定数は質の低いクラスメイトがいる
クラスメイトにやる気のない人がいると、前向きに頑張ろうとする人にとっては悪影響になります。マナーが悪い、私語が多いなど、講座の内容に集中できないことがあるかもしれません。
ハローワークの講座の場合は給付金を受給するためだけに受講する生徒もいるため、やる気のないクラスメイトと一緒に学ばなければならないケースもあります。
本当は介護職に興味がないにも関わらず、定職につく時期を遅らせるためにまるで介護職を目指しているかのように偽っている人が残念ながら存在します。
民間スクールであれば、わざわざお金を払って通うだけあり、やる気のある生徒ばかりですが、ハローワークの講座はそうとも言えないのです。
制度を利用する前に自分に合っているか考えるのが大事
ハローワークの求職者支援制度は、これから介護職を目指す方に知っておいていただきたい制度です。
特に失業保険の対象にならない方は、資格取得にかかる日数や費用をよく検討した上で、民間スクールと比較し受講するかどうか判断しましょう。
ハローワークの講座の中でも、介護職員初任者研修は特に人気が高いと言われていますが、やはりメリットがある反面、デメリットもあります。
今回ご紹介した内容を参考にして、自分に合ったルートを見つけていただければと思います。